アスペジが誇る定番中の定番といえば、M-65タイプジャケット。初登場したのは1986年のことで、以来30年以上にわたってアップデートを重ねながら継続展開してきたロングセラーです。ここまで長きにわたって愛されてきた理由は、“本物感”と着こなしやすさを絶妙に両立したバランスにあるといえるでしょう。M-65タイプのジャケットはアスペジ以外にも様々なブランドから発売されてきましたが、アレンジしすぎるとM-65本来の魅力が薄れてしまい、忠実すぎると土臭くなりすぎて着る人を選んでしまいます。

 アスペジの場合、一見の佇まいはリアルM-65にかなり近いものの、ポリエステル&ナイロン生地を製品染めしたユニークな素材表現と上質な仕立て、そして絶妙にアレンジされたイタリア的シルエット美により、誰が着ても洒脱に見えるバランスを実現しています。そんなマスターピースが今季、さらなるバージョンアップを遂げました。4WAY仕様になり、さらに汎用性が高まっています。その全容を解説しましょう。
 今年ブランド創設50周年を迎えたアスペジ。その特別企画として、定番M-65に着脱可能かつ単品使いもできるインナーベストをセットした日本別注が実現しました。さらに、インナーベストはトップ写真のようにレイヤード風に着ることも、下のようにライニングとして装着して見えないようにすることも可能。よって、①ライニングなしの軽快仕様、②インナーをライニングとして装着した防寒仕様、③インナーをレイヤード風に着用、④インナーを外してほかのアウターとレイヤード、という具合に4WAYで着用できるようになったのです。アスペジM-65史上、最も着回しの効く一着です。
左:ポリエステル&ナイロンのミックス素材を使用し、製品染めを施すことで自然に着込んだような味をプラスした生地がアスペジならではの特徴。右:インナーベストはライニングのように装着し、見えないようにすることも可能。ちなみに中綿には軽さと保温性に優れた「サーモア」を採用しています。
左:後ろ襟のジッパーを開けると、中にはフードが収納されています。右:本作の特典として、アスペジ50周年のスローガン「FAST FORWARD」をプリントしたトートバッグも付属。
 シーズンによって色展開が異なるM-65ですが、2019秋冬はこの4色で展開。定番のカーキやネイビーに加え、フレンチテイストも漂うライトベージュや独特の色気を備えたボルドーカラーもラインナップします。

ASEPSI M-65 Field Jacket ¥98,000+TAX

 M-65は大定番アイテムだけに、装いの鮮度を保つためにはコーディネートをどうアップデートしていくかが肝心。そこで、長年アスペジの買い付けに携わってきたバイヤーとMDが、50周年エディションM-65のコーディネート例をご紹介します。

個性派ボルドーは、
アースカラーで馴染ませて

「アスペジM-65の一番人気はネイビーなのですが、差をつけるならこんなボルドーをお求めになるのも粋だと思います。コーディネートとしては、ゴチャつかないよう色数を絞りつつ、全体をアースカラーでまとめるのがポイント。

それに加えて、今回は温かみのある素材感で統一しています。ツイードジャケットにシャンブレーシャツ、チノパン、スエード靴と、風合いのある素材でまとめることで、どこか懐かしくも今また新鮮な装いを意識しました」(バイヤー高橋)

武骨なオリーブは、
あえてスーツにON

「ここ数シーズン注目されているのが、ラギッドなアイテムとテーラードウェアをミックスするスタイル。そんな潮流を意識して、カーキのM-65を品のいいグレンチェックスーツに合わせてみました。白無地シャツに黒タイでシンプルにまとめると、一見難易度が高そうなミックススタイルもまとまりやすくなります。

足元はアメリカンローファーを合わせました。ガチガチのドレス靴だとアウターだけ浮いてしまう気がしたので、程よくカジュアルな靴でバランスを取っています。また写真では見えにくいですが、ソックスはボルドーを選んでいて、足元にちょっとだけアクセントをプラスしました」(バイヤー高橋)

軽快なベージュは、
差し色を効かせて

「このベージュM-65は、光の当たり方によってグレーっぽくも見える独特な色みが特徴的。トップスはホワイトニットを合わせて同系色でまとめつつ、パンツは発色のよいブルーコーデュロイを選んでメリハリをつけました。また、フードを出してスポーティ感を高めているのもちょっとしたこだわりですね」(MD密本)

シックなネイビーは、
柄で遊びを

「ネイビーのM-65をスーツの上に羽織る着こなしは、イタリアでも長らく定番とされてきたコーディネートです。今年はそこに新鮮さをプラスするために、ビッグドットの細幅ネクタイを合わせて遊びを効かせました。

ちなみにこちらのネクタイ、裏地を省いたスカーフのような仕立てなのもポイントで、胸元を軽やかに見せています。一方、シャツはタブカラーを選んでキリッとまとめました」(MD密本)
撮影/岡田ナツ子 構成・文/小曽根広光